茶遊記

中国茶の物語と評茶、茶館情報のブログ。

茶遊記Vol.51 2022年06月

           皖北の茶文化・棒棒茶

 

 

茶外茶:棒棒茶 安徽省淮北市临涣镇

外 形:褐黒色。1.5ミリ程度の乾燥した茎。

湯 色:濃いオレンジ色。

香 気:甘いカラメルの香り。

滋 味:甘い(紅茶に砂糖を入れたような甘さ)。

 

 淮北市临涣镇は杭州から680キロも離れた安徽省にあります。安徽省は別名を皖とよび、杭州でもこの車のナンバーを見かけます。安徽省の地形は河で区切って皖北 皖中、皖南でその文化を表現しますが、淮北市は皖北の先端に位置し浙江省よりも河南省山東省に近いです。

 淮北市临涣镇は棒棒茶という紅茶の茎を飲む習慣があります。初めて聞いたときは加賀棒茶を連想してかなり期待しました。それもそのはず、安徽省は古くから茶の名産地で黄山を代表する緑茶、世界三大銘茶のひとつである祁门(キーマン)紅茶もあります。しかし、これはすべて皖南が産地です。

 安徽省の友人(80年代生まれ)に棒棒茶の歴史について聞いてみるとあまり詳しくないけど、昔から知っているという返事が返ってきました。地元の茶葉店で購入する際、店主が教えてくれたのは祁门紅茶の茎だそうです。ちなみに祁门紅茶の生産が始まるのは清代のことです。

 临涣镇には現在30件ぐらいの茶館が存在しますが棒棒茶が主流です。どの店でも黒い茶壺と黒い茶杯で出されます。これを飲みながら民歌を聞いたり、カード遊びで過ごすのが棒棒茶文化です。カフェインやタンニンを感じず、お茶っぽくない棒棒茶は水がわりに何杯でも飲めるので一日中茶館で過ごすにはちょうどいい飲み物だと思います。