茶遊記

中国茶の物語と評茶、茶館情報のブログ。

高家花園

高家花園  共振桥街道风景街8号

 杭州の茶館には大きく分けて、食べ放題スタイルと高級感のある内装で茶を楽しむ2種類のタイプの茶館があります。食べ放題スタイルは席についてひとりいくらというように値段が決まっていますが、おしゃべりはもちろんトランプや麻雀をしながら茶を飲み点心を食べ、半日ぐらい過ごす人が多い。高級な茶館はお茶と点心だけですが凝った家具や茶器のコレクション、景色などその空間を楽しむようになっています。こちらもひとりいくらと決まっていますが食べ放題ではなく、ナッツやフルーツプレート2,3品が基本です。洒落た茶館は漢服やチャイナドレスを着て訪れ、写真をSNSなどにアップする「打卡」に人気があります。

 

 「高家花園」は民国時代の中西風(中国と西洋の要素を取り入れたもの)建築物を改装した茶館です。大運河にあり建物は重要文化財に指定されています。ネットで検索してみますと持ち主は高懿丞さんという安徽省合肥出身の方とあります。それで「高家」と呼ぶのですね。ちなみにこの方、清代の国防に力を尽くした政治家、李鸿章の遠縁にあたるそうです。1200平米の敷地内には池や橋もありまるで小さな公園のようです。1946年、高さんが死去すると売りに出され、ある工場が所有していましたが、2001年にその工場が破産した際、拱墅区が管理するようになりました。きれいに修復された建物は2014年に中国大運河文化遺産として開放されました。かつては主人の住居だったと思われる建物が茶室になっています。茶室までの回廊にはモノクロ写真が展示されて、蚕を紡いでいる写真など当時の様子を見ることができます。

 

 

 茶館入り口の柱天井の彫刻はとても見ごたえのあるものでした。案内してくれた方に尋ねると茶館のオープンにあたって修復をしたと言っていましたが、いわゆる保存学的な修復というよりは現代風な要素を取り入れた修復になっている感じです。ちょっとモダンな雰囲気です。

 

 

 建物自体が歴史資料となっているので博物館的、或いは観光地的価値のある茶館といえます。しかし、茶館の基本である茶と茶器も雰囲気に合う主張しすぎない玲珑小巧としたものが揃っています。雲南の茶葉が中心で、香りのいい滇红を淹れてくれました。お洒落して大事な人と出かけたい茶館です。