茶遊記Vol.53
「中国茶通の女性が好む漳平水仙」
青茶(烏龍茶):漳平水仙 福建省龙岩市漳平市
外形:固形茶4cm四方の正方形(10g)、
深緑、深紅、焦げ茶色、ドライフラワーの香り。
湯色:杏黄色。
香気:甘いフルーティーな香り(桃や杏に似ている)。
滋味:まろやかな甘さ。
漳平水仙は福建省漳平でつくられる水仙茶。烏龍茶の中で唯一、固形茶に加工される茶葉です。固形茶は緊圧茶ともよばれ、龍井茶や岩茶などは散茶と呼ぶのに対し、普洱茶のように固めて加工する茶を緊圧茶と呼びます。黒茶のほかに白茶の寿眉を丸く直径20センチぐらいに固めたものがその代表です。漳平水仙は手のひらサイズに小さい正方形に加工されて白い紙に包んであるので紙包茶とも呼びます。
初めて見た時は枯葉色の塊でお茶とは想像できず、ドライフラワーのポプリの様でもあり、その外形が印象的でした。けれども茶館で研修中、もっと印象的だったのはこの茶葉を注文するのは必ずと言っていいほど女性でした。もともとこの茶葉に注文が入るのは少なく、偶然だったのか注文するのは必ず40代後半以降の女性客ばかりでした。
四角い茶葉をそのまま蓋碗で淹れますが、しばらく置いて蓋を開けると桃のような甘い香りが漂います。杏色の茶湯と甘い滋味、枯葉色だった茶葉が紅くなります。これは紅辺と呼ばれる加工によるもの。この紅辺が茶葉の周りを均等に一周しているのが特徴です。
漳平水仙は外形、香り、滋味、葉底も楽しめる茶葉ですが岩茶や鳳凰単層に比べるとあまり知られていません。通な人が注文する茶葉といえるでしょう。
葉底。一芽二葉が基本で摘まれる。