茶遊記Vol.49
茶税のかかった石筧茶
緑茶:石筧茶 浙江省诸暨市
外形:鋭くとがった針状。松葉に似ている。枯緑色。
湯色:透明な黄白色。(卵白色)
香気:花香。(中国の結香)
滋味:さっぱりした甘さに微かな苦味。
浙江省诸暨市は杭州から車で約3時間ぐらいで行ける近いところにあります。ここは中国四大美人のひとり、西施(春秋時代の越国人)の出身地でもあります。
浙江古代銘茶のひとつである石筧茶は石筧岭茶とも呼びます。诸暨市は唐代からすでに茶の名産地でした。このあたりは昔、十肩岭と呼ばれていましたので音を真似て石筧岭としたのではないかと考えられています。
诸暨周辺の茶葉はさまざまな加工法で広い地域に運ばれました。円形にした圆茶と呼ばれたものは外国へ、散茶加工した緑茶は北京へ、他に紅茶加工したものや茎茶、粉末にしたものが輸出港に運ばれました。しかし、中国には唐代から茶葉には税金が掛けられ政府が管理していました。個人で勝手に販売をすると逮捕され、逮捕歴や茶の量によっては死刑もありました。『浙江通史』には茶商人が诸暨に茶葉を買い付けに来ますが許可証のない茶農家から買い付けると、茶葉を诸暨から持ち出すことが出来なかったとあるそうです。
茶の税制は、唐代は税茶法十二条、宋代は茶榷、明代は茶引制に変わります。茶が高値で売れ、またそのためにより美味しい茶を探求する背景が中国の茶史を築いているのです。
(文中の中国語はなるべくそのままの簡体字で表記しました。)