茶遊記

中国茶の物語と評茶、茶館情報のブログ。

茶遊記Vol.47 2022年02月 「八方美人な蓋碗茶」

  茶遊記Vol.47

             八宝美人な蓋碗

  

  茶外茶:蓋碗茶(八宝茶) 寧夏回族自治区

  百合の花、枸杞、桂園、干し葡萄、棗、山査子、金柑、緑茶、胡麻、氷砂糖

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 「蓋碗茶」を始めて飲んだのは2010年に寧夏に行った時のこと。旅行先ではその土地のお茶を飲むことにしている。事前に情報集めをして夕食に入ったレストランで注文しました。青花模様の大きな蓋碗にゴロゴロと入ったドライフルーツ、溢れるぐらいに注がれた湯に浮かぶ白胡麻。そしてかなり甘かった。よくみると氷砂糖がたっぷり入ってました。

  百合の花、棗、枸杞、桂園、氷砂糖、山査子、金柑、干し葡萄、胡麻などが入っている茶外茶ですが、「八宝茶」というのが正式な茶名のようです。基本は八種ですが好みで何を合わせてもいいし、八=多(いっぱい)という意味合いですから八種類以上ならいいのです。寧夏ではこれを蓋碗に淹れるので「蓋碗茶」とよびます。

 

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                     ※桂園は殻を取って淹れる。

 昨夏、「八宝茶」が寧夏から届きました。送り主は90後の回族の女子。面白いパッケージとバラエティー豊かなハーブティーが入っていて彼女のセンスの良さを感じました。杭州の暑い夏に甘いお茶を飲む気になれず暫くしまってありましたが、小雪(11月22日)が過ぎると目ざめの一杯に飲むようになりました。寧夏は砂漠地帯で植物が育ちにくく茶葉の栽培には適さない。枸杞が特産品でその葉を「枸杞茶」として商品化しているが山茶科の植物じゃないからハーブティーの類になる。この地域は「八宝茶」や「枸杞茶」等の茶外茶が茶文化になっているのです。

 2000年、広州から杭州に引っ越して間もないときのこと。茶葉市場に行ったら龍井茶じゃなくて小袋に入った「八宝茶」を薦められて買いました。杭白菊、棗などドライフルーツと氷砂糖が入っていた。当時、浙江大学の事務室でもこれを飲んでいる人を見かけたし、街中で大きめのコーヒー瓶に八宝茶淹れて持ち歩く人をよく見かけた。今考えると八宝茶が流行っていたのかもしれない。「八宝」が入っていれば「八宝茶」になるので地元の特産品をいれて「八宝茶」と売っていた。万人受けするネーミングもその人気に一役買ったにちがいない。

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