茶遊記

中国茶の物語と評茶、茶館情報のブログ。

郭庄茶室

郭庄茶室 西湖 陽公堤西山路15号

 

 今年の杭州は例年以上に熱い夏でちょっと外に出ても日焼けでなく焦げてしまいそうなぐらい暑いです。最高気温41.8度(8月14日)という記録を出しました。それでも、いや、それだから茶館は西湖にしました。強い日差しの中で見る大輪の蓮の花はやはり杭州の風物詩でしょう。これを見ずに杭州の夏は語れないのではないでしょうか。

 

  

 郭庄は正式名称を「汾阳别墅」と呼びますがこれにはちょっとした歴史があります。もとは清代のシルク商だった宋瑞甫が1907年に建てたと伝わっています。当時は宋庄、「瑞友别墅」と呼んでいました。その後、民国になると郭士林が持ち主になり山西汾阳の出身だったことから「汾阳别墅」と呼ぶようになりました。郭庄というのも郭士林の姓名に由来しています。現在は園林局の管理になり修復をして1991年10月から一般公開をしています。西湖を囲む建物の中で最も古典的な江南スタイルの清代建築物です。

 

 

 杭州を訪れたらほとんどの人はまず西湖に行くと思いますが、郭庄に行く人は少ないのではないかしら。この前を何度も通ったことがありますがいつもひっそりと静かです。入場料を払って入るので景色か建築物に興味ある人が来る穴場的な場所で、その郭庄の中に郭庄茶室があります。

 

 

 茶室は郭庄の中の離れのような建物にありました。黒い家具で統一され、落ち着いた雰囲気が薄い窓ガラスから覗く蓮の花の美しさを一層際立たせてました。「承香堂」という香道のオーナーさんが西湖龍井の茶農家で自家製茶である西湖龍井茶と龍井紅茶(九曲紅梅)を提供しています。他に白茶、黒茶、青茶と八宝茶が揃っています。すべてのお茶代には3種類の茶菓子が含まれていますが、別料金でフルーツプレートやフライドポテトなどを注文することができます。おすすめは「片兒川」という筍と高菜が入った杭州の麺です。メニューにはない隠れメニューですが頼むといつでも作ってくれます。量が多いので2-3人でシェアするのもいいかもしれません。

 

 

 40度の熱気と蝉の鳴き声を聴きながら、蓮の前で地元の茶をいただく。これこそ杭州の夏です。